ヨーグルトはむし歯になりにくいのか?

なんか体に良さそうな気はするアイツ、どうなの?
山田翔(歯科医師) 2026.07.31
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ベビーダノンは小さい子には良くないらしい。

え、ベビーって名前についてるのに?
「6か月から」、「赤ちゃんのためのヨーグルト」、「ママ・パパに選ばれてNo.1」って書いてあるのに?
なんでそう言われてしまうのか不思議ですよね。
結論から言えば、「食べさせちゃダメ」というものではありません。
でも「食べさせた方がいいもの」ではないし、普通のヨーグルトでいいし、むしろそっちのほうがいい。
明治ブルガリアヨーグルトプレーンでいいんです。
6か月から、赤ちゃんも食べられて、ママ・パパも一緒に食べられます。
でも明治ブルガリアヨーグルトプレーンにはそんなこと書いてない。
いやまぁHPを深掘りしていけば書いてあるんだけど。

赤ちゃんは離乳期初期から食べられます。

ダノンになんかされたこともないし明治からなんかしてもらったこともないです、念のため。

結局ね、商品の名前、パッケージの表記、売り文句は鵜呑みにしてはいけない。
まずそのことをしっかり認識しておいてもらえると、ほかの商品の選び方にも応用できるようになります。

遊離糖か、それ以外か。

与えるべきものかそうではないかのシンプルな分類。
それが遊離糖。

その定義は

製造業者、調理者、または消費者が食品や飲料に添加する単糖類と二糖類、および蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁に自然に含まれる糖類

WHOは、成人および小児の両方において、遊離糖の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満、できれば5%未満に抑えることを推奨し、
国際小児歯科学会などは2歳までは避けるよう提言しています。

どれが遊離糖に当てはまるかを考えるよりも、遊離糖に当てはまらないもののほうを知っておいた方がわかりやすいかも。
果物そのもの、野菜そのもの、母乳、牛乳、お米などは遊離糖じゃない。
天然に存在するそのものの糖は含まないから。

意外かもしれないのは、果汁100%ジュース、スムージー、はちみつは遊離糖。
加工されて糖が濃縮されているから。

リンゴまるごとは遊離糖に含まれない。
リンゴ100%ジュース、リンゴスムージーは遊離糖。

じゃあ離乳食としてすりおろしたリンゴは?カットしただけのリンゴは?加熱したリンゴは?
そこまで細かい定義は実はないけど、食物繊維など摂りたい要素が除かれ、摂りすぎたくない糖が濃縮されるほどよろしくはない、とそんな感じで捉えたらよいと思います。

リンゴまるごとは、噛んで唾液が出るのでむし歯リスクは低くなる。
リンゴ100%ジュースは、噛まないから唾液が出て来ずむし歯リスクが高い。
そんな側面もありますね。

じゃあリンゴまるごとならいくら食べてもむし歯にならないかといえば、それはそうじゃない。
遊離糖という分類は厳密には「むし歯になるか、ならないか」をみているものではない。

摂るべきか、避けるべきか。

そういう視点の分類です。

商品の見分け方

こいつは遊離糖なのか?そうじゃないのか?
既製品を見分けるのに一番便利なのは、商品の名前でも商品パッケージの文言でもない。
「原材料名」です。

ヨーグルトの話に戻しましょう。

ベビーダノンのプレーンは何でできているのか?

生乳(国産)、乳製品、乳たんぱく、でんぷん、乳糖/増粘多糖類、ピロリン酸第二鉄、酸味料、ビタミンD

乳糖が添加されてますな。

明治ブルガリアヨーグルトプレーンはどうかな?

うん、なにも添加されてない。

ヨーグルト中に自然に含まれる乳糖については遊離糖から除外されますので、明治ブルガリアヨーグルトプレーンも工業製品ではあるものの一応遊離糖ではない、ということになります。

なので、少々極論ですがあくまでも分類としては

ベビーダノン=遊離糖=避けるべきもの
明治ブルガリアヨーグルトプレーン=遊離糖ではない=摂るべきもの

ということに一応なります。

ちなみにベビーダノンのプレーン以外、たとえば「いちご」は

生乳(国産)、ストロベリーピューレ、糖類(砂糖、乳糖)、乳製品、乳たんぱく、でんぷん、にんじん汁/増粘多糖類、酸味料、ピロリン酸第二鉄、ビタミンD

となっており、しっかり砂糖も入っています。
原材料名は「多い順」に書かれていることも知っておくと良いですね。

なお、糖の量についてはおおよそ炭水化物量から推測できるのですが、
100gあたりに換算すると

明治ブルガリアヨーグルトプレーン:5.3g
ベビーダノンプレーン:5.8g
ベビーダノンいちご:10.9g

となりますので、まぁゆーてそこまでベビーダノンプレーンの糖はすごく多くはないな、という印象にはなり、味付きはやっぱあかんね、ということになります。

ちなみに、明治ブルガリアヨーグルトプレーンにアヲハタのジャムを入れてるから大丈夫!という方もちょいちょいお見かけしますが、
アヲハタ55のイチゴジャムの原材料名は

いちご(輸入)、砂糖類(砂糖、ぶどう糖(液状))/ゲル化剤(ペクチン)、酸味料

アヲハタまるごと果実のイチゴジャムの原材料名は

いちご(輸入)、りんご清澄濃縮果汁、クランベリー果汁、ぶどう清澄濃縮果汁、レモン果汁/ゲル化剤(ペクチン)

となっていて、いずれもガッツリ遊離糖です。
個人的にはそういう配慮をしてくださる価値観の方であれば全体としてむし歯リスクは低いはずですから大丈夫だろうと感じるところもあるのですが、もったいないなと感じるところはあるので一応書いておきます。

なお、いちごそのものを入れるのであれば、分類的にも遊離糖からは除外されます。

乳製品はむし歯になりにくい。

なんでヨーグルトに関して特に糖の添加に敏感になるのかというと、ヨーグルトを含む乳製品はそのままの状態であればむし歯になりにくいことがわかっているからです。

乳製品にはカルシウムやリンなどの歯を形成しているミネラルが含まれているので、むし歯の原因にはなりにくく、ときに予防的なものとして扱われることもあります。
単純な糖の量だけでなく、その食品全体でむし歯リスクは変わってきます。
そのため、牛乳、チーズ、ヨーグルトはむし歯になりにくい食品として扱われます。

このことは日本国内の研究でも示唆されていて、3歳時点でそれらの乳製品の摂取頻度が高いほどむし歯は少ないことが示されています。

日本語で読みたい方はこちらを。

この記事のほうは酪農業者の団体なので思いっきり利益相反ありますけどね(笑)
内容は妥当なものでした。

上記を読むと書かれていますが、同じく牛乳を原材料とする乳酸菌飲料やアイス、カスタードプリンなどは当然ながら摂取頻度が高いとむし歯が増えることも示されています。

どの程度の加工や糖の添加があるとむし歯リスクがどれくらい上がるか、といった細かなところは残念ながら現在のところ分かりません。
ただ、もともとむし歯になりにくい製品に少しでも糖を足してしまえば事情が大きく変わってしまう可能性は十分あります。

また、上記の研究では乳製品の摂取頻度が高いほどむし歯が少なくなる傾向は示されているものの、一般に牛乳やヨーグルトの摂取頻度が高くなればジュースやお菓子を摂取する頻度も同時に下がると考えられるため、追加で摂れば摂るほどむし歯になりにくくなるかどうかは疑問があると僕は考えています。

いずれにせよ、そのまま食べればむし歯になりにくいものを、わざわざむし歯になる可能性を上げて与えるのはもったいない、と僕は考えています。

そしてなによりも、名前に「ベビー」がついて、「6か月から」という月齢表記があって、「赤ちゃんのため」と書かれている製品のほうが実際は避けるべきもの、というのが、僕は理不尽だなぁと感じています。

あんまよくないかもなと知りつつほどほどに使うのはいいのです。
良かれと思って害するのは嫌だなと。そういうことです。

乳糖はむし歯になりにくいのか?

ここからはちょっと論点が変わって、乳糖について。
一般論として乳糖は砂糖と比べればむし歯になりにくい糖です。
母乳だけでむし歯になることはありませんし、牛乳は母乳よりも乳糖の量は少なく、上記の通りむし歯に保護的として扱われることすらあります。

でも、母乳育児期間が長いとむし歯になりやすい、というのも聞いたことがありますよね。

本来母乳はミルクよりもむし歯にはなりにくいことがわかっています。
生後6か月〜1歳まで、ときには2歳まで母乳育児を継続したほうがむし歯リスクが低くなるとする研究もあります。

反対に、1歳を過ぎて母乳育児を継続しているとむし歯が多くなる、とするものもあります。
これは離乳食を食べるようになって、遊離糖を摂取するようになると口腔内細菌が変化し、乳糖もむし歯関わるようになってしまうからだと考えられています。

なのでここでも控えるべきは遊離糖。
実際に遊離糖を控えると母乳育児を継続していてもむし歯リスクを下げられることが示されています。

余談ですが、ミルク育児の場合は1歳まででミルクはやめていくことが一般的には推奨され、フォローアップミルクは医師の指示のあるときのみ飲ませるもので、保護者の判断で飲ませるものでは本来ありません。

いずれにせよ、母乳やミルクに含まれる乳糖は遊離糖には含まれず、基本的にはむし歯にはなりにくいはずのもの。
それがどのようにむし歯に関わるのかを、実は日本の東北大学が研究発表しています。

ビフィドバクテリウム、いわゆるビフィズス菌は、砂糖よりも乳糖を代謝し「酢酸」という有機酸を出すことが示されたのです。

むし歯菌の代表格として示されることの多いミュータンス菌は砂糖を代謝して「乳酸」という有機酸を出すことがわかっています。
こちらはむし歯のきっかけを作るのが得意な酸。
対して酢酸は、むし歯を広げるのが得意な酸。

単純化すると、

ミュータンス菌+砂糖 → 乳酸 →むし歯のきっかけ
ビフィズス菌+乳糖 →酢酸 →むし歯の拡大

そもそものきっかけがなければ広がりませんから、病因論からしてもまず砂糖などから控えていくことは妥当ですね。

なので実際的にはベビーダノンが即座に問題になるというよりも、ベビーダノンを多用してしまうことがあるとしたら、その背景にほかの糖も摂っているなどの問題が同時に起きていることが多くなり、全体としてリスクが高くなる傾向にあるため問題となる、と考えると良いと思います。

既製品を選ぶときにしっかり原材料名を見る習慣があれば、ベビーダノンはもちろん、ほかの食品についても賢く選んでくださるでしょうから。

なので、大事なのはベビーダノンを避けることではなく、商品名や商品パッケージの謳い文句を鵜呑みにしないこと。
僕はそれを伝えたいと思っています。

むし歯を予防するヨーグルト…?

さて、最後にちょっと脱線しますが、ヨーグルトにはむし歯予防をうたう製品もいくらかあります。
それは歯に関するミネラルが含まれるからとかそういう話ではありません。
プロバイオティクスのお話です。

いつものように少々センシティブな内容になりますので、ここから先はサポートメンバー限定です(爆)
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内容は、要はむし歯を防ぐことが臨床的な科学的根拠をもって支持されているような製品はないって話です。

企業のうたい文句に乗せられないように。
ヨーグルトに限らず、乳酸菌飲料なんかもね、ピンとくる製品、あるでしょ(爆)
ふつーに遊離糖を添加してる製品なんかも多いので、むしろ歯や体を害してしまう可能性もあります。

本当は消費者が賢くならなくても、無意識でいても健康的な食品が手に入るようになっているべきだと思うんですけどね。
そこはしっかり法整備しないといけないと思うのですが、日本は企業と政治の関係がガッチリですからね…。
現状は僕たち消費者が賢くなるしか。
そのお手伝いが少しでもできるように、僕も発信を続けたいと思います。

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