科学的根拠に基づく子どもの好き嫌いを減らす方法
【「苦手な食べ物でも一口は食べてみよう」は虐待や不適切保育なのか?】
という記事が報道されていました。
残食率を気にしたり、個人的な価値観などから無理やり食べさせることはあってはいけません。
ですが、好き嫌いせずになんでも食べてほしい。
必要な栄養を摂ってほしい。
そのような子どものことを想う気持ちもそこにあるからこその悩みもあると思います。
好き嫌いを改善する方法はあるのか?
好き嫌いを少なくする育て方はあるのか?
今回はこれをテーマに、科学的根拠を参照してみようと思います。
好き嫌いを改善する方法
まずは「好き嫌いを改善する方法」に近い内容として、果物・野菜摂取量を増やす方法について述べているコクランレビューから。
これは絶対有効!といったハッキリとした結果はやはり出ていません。
これが良さそうかも?くらいのニュアンスでしょうか。
まず、アプローチの仕方としては、家庭や園それぞれ単独でアプローチするよりも、
家庭と園の両方にアプローチした方が良さそうです。
僕が少しこの内容をXに投稿した際には「園や学校ではなく家庭でやるべき」といったご意見もありましたが、両方でやったほうが良さそうですね。
次に、どんな取り組みをすると良いか。
多くの研究からどうやら効果がありそうと思われるのが「繰り返しの暴露」。
いわゆる「ほんの一口作戦」と言われる方法です。
これについては個別の研究を見ていきましょう。
ここで試されている方法は、嫌いな食べ物を味見ゲームとしてほんの一口でいいので14日間連続して食べ、それができたらステッカーのご褒美を与えるというやり方です。
それによって嫌いな食べ物を食べるようになったよ、というわけなのですが、同様の研究でおおよそ示唆されているのは「10〜14日連続してその食べ物に触れさせると良さそう」ということです。
保育現場で言われる「苦手な食べ物でも一口は食べてみよう」というフレーズがこういうニュアンスであるなら良いですね。
苦手でも触れる機会だけは提供しよう、というアプローチ自体は大切ですから。
ただし連続して10日以上触れさせる以外の、たまに出てくる嫌いなものも食べてみようといった試みがどこまで効果的かはこれらの研究からはわかりません。
全くその機会がないよりは良さそうな感じはしますけどね。
また、上記研究ではご褒美にステッカーを与えていますが、これはしなくてもいいかも。
念のためですが、このご褒美を甘いものなど他の食べ物を用いてしまうと逆効果にもなりえることが示唆されています。
この論文は前回記事の「1歳児にケーキは早いのでは?という話」でも紹介しましたね。
「ピーマン食べられたらアイス食べていいよ」というようなアプローチをしてしまうと、「ピーマンは嫌なもの」、「アイスは素敵なもの」という認識を強化してしまいます。
ついやりがちですが、注意が必要ですね。
好き嫌いを少なくする育て方
さて、ここからは「好き嫌いを少なくする育て方」について見ていきましょう。
なんと好き嫌いが95.4%もなくなる方法です(爆)
質問票を用いた手法ですから、さすがに回答者のバイアスはありそうかなと思います…。
それでも可能性がありそうなのが、離乳期のBaby-Led Weaning(BLW)という手法です。
子どもの主体性を尊重し、離乳の開始時期から赤ちゃんが食べることを主導する方法で、
開始初期はまだ手先も器用に動かせないため、ある程度固形のものを手で掴んで食べることになります。
このことが初期から様々な食形態を経験することを促し、のちの好き嫌いを低減することに役立っている可能性があります。
また、必ずしも厳格なBLWを実践せずとも、開始初期から固形食を手づかみ食べさせることを並行することで同じく好き嫌いを低減させられることが他の研究からも示唆されています。
“自分で主導すること”が重要なのか、“早期から様々な食形態を経験すること”が重要なのかを切り分けて判断することは難しいですが、基本的にそれらはリンクするので、開始初期から様々な食品を手づかみ食べさせておくと良さそうかも、と言えそうです。
なおWHOは以前より赤ちゃん自身の自主性を尊重するResponsive Feedingを推奨しており、多くの赤ちゃんは8か月ごろにはフィンガーフードが食べられるとしています。
味覚の窓
早期の経験でいうと別の角度で「味覚の窓」と呼ばれる研究があります。
生後4〜6か月の時期はどんな味覚も受け入れるとされており、その時期に様々な味覚を経験しているとのちの好き嫌いが少なくなるというものです。
ただし一般に離乳食の開始時期は6か月以降とされており、その時期はまだ食べられない子も多いですから、食べる目的でなく歯固め的に折れにくいゴボウや出汁昆布などをガジガジさせるような形で経験させるのもアリかもですね。
これらの研究から見えてくる全体像としてはやはり「経験が重要」ということは言えそうです。
そういう文脈からいえば園での「苦手な食べ物でも一口は食べてみよう」という声かけも一概に否定されるべきものではなく、ときに必要なことと言えそうです。
ただあくまでも基本的に周囲の大人は「その機会を与えること」がお仕事。
無理やり食べさせることはやってはいけません。
最後に、サポートメンバーのためにちょっとだけ脱線した内容を書きます。
脱線しつつも論文も紹介していますので、ご興味のある方はどうぞ(^-^)






